久米靖

2021.06.26

『河童が覗いた』シリーズ

みなさん、おはようございます!
Cast Power Next所属の久米靖です。

前回の投稿で「河童」について書きましたが、今回は実在の人物、妹尾河童(せのおかっぱ)氏に関するお話。

ボクの愛読書に、『河童が覗いた』シリーズというのがあります。
信じられないほど精緻なイラストがほぼ全ページに施され、300ページ近くの内容が全て手書き!という空前絶後の書籍です。

著者の妹尾河童氏はグラフィックデザイナーや舞台美術家として活躍しておられた方。
かつて『夜のヒットスタジオ』や、『ミュージックフェア』などのセット美術を担当しておられたそうです。

『河童が覗いた』シリーズは、舞台美術家としてのご経験を最大限に活かして執筆されたシリーズで、例えばホテルの部屋などは上からのぞいた立体的で非常に細密な見取り図が掲載されており、「覗く」とく欲求を読者に体現させてくれるのです。

旺盛すぎるともいえるほどの好奇心で覗いたシリーズで、特にお気に入りなのは下記の3作品です。
機会がありましたら、ぜひ「覗いて」みてください。

■『河童が覗いたヨーロッパ』
1年間で歩いたヨーロッパ22カ国、宿泊した部屋115室。風土の違いから興味を持ったあらゆることを“手描き”した作品。

各地の“窓”の構造、国際列車の車掌さんたちの装い、列車の寝台客室、街の古い看板など、妹尾河童氏が興味を持ったあらゆるものが覗かれています。

■『河童が覗いたニッポン』
今まで多くの人々が見落としていたニッポンが、立体的に鮮やかに浮かび上がって見えてくる作品です。
旅行記ではなく、普通の人が思いつかないようなテーマが深く掘り下げられています。

点字印刷機、裁判の傍聴、皇居、刺青師の仕事部屋、CM撮影の舞台裏、サーカスのテント劇場、田中角栄氏の邸、などなど。

極めつけは刑務所で、府中刑務所の所長から直接の許可を取り、刑務所の全貌、雑居房、独房などが俯瞰した状態の精密なイラストとともに詳細に記述されているのです。

 
■『河童が覗いたインド』
覗いたシリーズの中でも白眉といえる作品。
インド特有の下痢にもめげず、熱射病も乗り越え、体験された様々なことが生き生きと描かれています。

聖なる河・ガンジス、現在でも残るカースト制度、巨岩ゴロゴロの街、美しい「風の宮殿」、様々な神様、石窟寺院 など。

イスラムの代表建築である【世界遺産】タージ・マハルに至っては、現存する白大理石の建物のみならず、王の空想の中にしかなかった黒大理石の建物なでイラストとして再現しています。
イラストの精緻さと美しさはもう神レベル!

 
ところで、「河童」というお名前は、本名だそうです。
もちろんご両親がつけられた名前ではなく、ご自身で改名されたとか。

このような特異な発想と行動力が、ボクたちにも必要ですよね。

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