皆美色
2025.08.15
蘇った夢
「私色ちゃんのこと、最初嫌いだったんだよね」
中3の夏、衝撃を受けた。
幼い頃の私はとにかく明るく元気で、目立つことが大好きだった。
学級委員の選挙に立候補して、全校生徒の前で演説をしたり、学芸会ではオーディションで主役を勝ち取り、見事にやり遂げた。
行事の度に訪れるカメラマンを見つけては駆け寄って、満面のスマイルで写真に写り込んだりもしていた。
そんな当時の私の夢が、テレビに出ること。
順調に小学校を卒業し、中学に入学すると、知らない顔が一気に増えて、そこで先生から渡されたのが自己紹介カードだった。
様々なカテゴリの中に、”将来の夢”とあった。
私は迷わず”テレビに出ること”と記入し、それは暫くの間教室の後ろに張り出されたのであった。
「私あれ見た時何言ってんのコイツとか思ってさ」
お前みたいな奴がテレビなんか出れる訳ないだろ、何言ってんのコイツうざ。
つまりこういう事なんだろう。
それが嫌いの引き金になったらしい。
「だけど仲良くなったら色ちゃんめっちゃ良い子だし、バドミントンも超上手いし。私色ちゃんとペア組みたかったー」
当時私はバドミントン部に加入していた。
友人はきっと褒めてくれたつもりなんだろうが、前半の言葉でフリーズしていた私には何も響いてこなかった。
中学生の私は随分ショックを受け、
私みたいな人間がテレビに出たいなんて言うと、嫌われてしまうんだ。
そう学習したのだった。
その後無意識のうちに、
己の夢が記憶から無くなった。
そんなもの存在してなかったかのように時が流れた。
そして何度目の冬だろう…
突然だった。
何かをきっかけにして記憶が蘇ったのだ。
あ、私本当はテレビに出る人になりたかったんだ…
あの頃の私は人から嫌われたくなくて、
自分に自信がなくて、
他者に否定されたから、
それはもう絶対に出来ないことなんだと思い込んでいた。
だけど月日が流れ大人になり、成長した私はあの時とは違う。
やりたいならやろう!
他人の意見が絶対ではないし、他人にどう思われるかよりも、そんなことよりも自分のやりたい!って気持ちが何よりも大切なんじゃないか。
そして行動に移した私を受け入れてくれたのが今の事務所、キャストパワーネクストだったのだ。
全くの素人で、右も左も分からない私にチャンスを与えてくれた。
お芝居の勉強は本当に楽しくて、撮影現場は刺激的だ。
こんな経験が出来るのも、全ては事務所のお陰である。
改めて感謝だ。
キャストパワーネクスト所属
皆美色(みなみしき)